女は人生で三度、生まれ変わる

前回投稿した「男の行動54の秘密」の女性版。実際にはこちらの方が早く刊行されている。女性の生涯をホルモンによる情動の変化とともにとらえていく一冊。女性がどのようなことに興味をもち、不安を感じ、どのような目的をもって行動・思考するのかを記述してくれている。


以下、面白いと思った部分をかいつまんでご紹介。

・年齢的にキャリアが全盛期を迎えるころ、女性は他人とのかかわりが薄く孤独な作業を必要とするキャリアの追求に興味を失くし、男性のほうは部屋にこもって何時間もコンピュータに向かい合っていても平気になる。

・女児の場合、目を合わせ、相手の表情を見つめる力は生後3か月あまりで400倍にも成長するが、この間、男児が相手の表情を見るスキルは全く成長しない。

・女児は無表情に耐えられない。無表情を向けられるのは自分がなにか間違ったしるしだと受け取る。自分のすることが間違っていなければ、期待通りの反応が返ってくるはずだと思う。

・親と児童をおもちゃのある部屋にいれ、おもちゃを触ってはいけないと守らせる実験では、女児は男児にくらべて10倍から20倍も母親の顔をうかがい、自分がしていることが悪いことか確認した。ところが男児は部屋中歩き回って、ほとんど母親の顔を見なかった。禁止されたものにもどんどん触って、母親がダメ!と叫んでも平気だった。男児は胎内でテストステロンの影響により情動中枢が影響をうけているので、母親の警告の声色を聴き分けることが生理的にできない。

・女児は言葉を使ってコンセンサス(同意)を求め、直接命令せずに相手を思い通りに動かそうとする。

・思春期を迎えると、認められるか否定されるか、受け入れられるか拒否されるかというような感情的なニュアンスに対して強く敏感になる。ストレスに対しては、愛情深い活動や社会的保護網を作ることで対応しようとする。

・おしゃべりを通じたつながりは少女の脳の快楽中枢を刺激し、その刺激の強さはヘロイン中毒者がドラッグを接種した時に匹敵する。

・男性は他者からの独立を維持する能力に自尊心を感じるが、女性は他者との親密な関係を維持する能力によって自尊心の一部を支えている。

思春期以後の記述には性的な内容が増えるので、ここでは割愛させていただく。また、閉経後にもかなり大きな情動の変化があり、男女ともに一読の価値ありの一冊である。筆者が女性なだけに、男性版よりもはるかに詳細な記述である。

本を読みたくなったら

蔵書を軽く紹介しています。

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