ザリガニの鳴くところ

2020年アメリカで最も読まれた小説。ミステリ。

───ノースカロライナ州の片隅のバークリー・コーヴという街は湿地と海に囲まれた街だった。そこには、"湿地の少女"と呼ばれる女の子がいた───


少女が物心ついた時は家には父と母と兄がいた。その上にさらに姉が2人いたが、すでに家を出たあとだった。ある日母は家を出て戻らず、兄もしばらくして後を追ってしまう。酒に酔い暴力を振るう父との生活が続くが、やがて父も彼女のもとから去ってしまう。あらゆる人が彼女からは去って行くのだった。

物語は少女の10数年にわたる成長を描き、同時進行で、彼女が成人になる頃に起こる街の住人の死亡事件を描いていく。次第に絡まりだすふたつの物語。彼女をとりまく人々の変わりゆく姿。

生物学者が湿地を繊細に描きだすその筆致は幽玄であり、ゆったりとした叙情的な語り口によって、物語はあなたをザリガニの鳴くところ(遠く遠く、ザリガニでさえ鳴くような、原風景が残るとされる地)へ連れて行ってくれる。

少女の行く末は、事件の真相は。
活字が好きな者がこの物語を選択肢から外すことはできない。

本を読みたくなったら

蔵書を軽く紹介しています。

0コメント

  • 1000 / 1000