濹東綺譚

永井荷風の私小説的随筆的小説。


孤独な老男性が世間知らずのうら若き女性と刹那的な恋に落ちるという、いわばありがちな外郎男性ロマンチズム的作品なのだが、この作品はそういった言葉で形容し終えるには惜しい作品である。


というのも、文章が圧倒的に素晴らしいのである。胸焼けのしない耽美さや、鮮やかすぎない恋模様など、あらゆる表現が行き過ぎず、それでいて控えめでないのである。


そういった意味で可憐な、良き文学といえよう。

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