生きることの社会学
社会学という、人が構成する集団ほとんど全てを定義として包摂する「社会」に目を向けた学問領域。その中でも人が生まれてから死んでゆくまでに深く関わる社会について幅広い視点から見つめ直す一冊。
具体的には出生・家族・親子・学校・成長・攻撃性・性愛・労働・老い・死について改めて俯瞰して見つめ直していく。
普段から当たり前とされていることが、歴史や構造的な視点から俯瞰してみると、それが当たり前なのではなく様々な理由によって規定されたものであることや、文脈的なつながりの途上にあることが分かってくる。それがわかるという視点が大事であって、本書はひとつの社会やテーマに対して多角的な視点で概説をしてくれるものである。
筆者の強い私見や推論が少なく、できるだけありのままの知識をありのままの形で伝えようとしてくれており、またテーマごとに知識を深めるためのクリティカルな問いと関連良書まで教えてくれる、素晴らしい姿勢をもった本である。
平易な言葉で書かれているので読者の年齢を選ばない良書。
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