心を操る寄生生物

コーヒーの花の蜜にはカフェインが含まれている。カフェインが含まれた蜜を摂取したミツバチは、どこに何の花があったか、という記憶力のテストに完璧に答えられるようになった。さて、コーヒーの花が蜜にカフェインを含ませている理由はなんだろうか。

トキソプラズマはネコを主な宿主とする寄生生物である。トキソプラズマに感染したネズミは異常に活発に動き、ネコの尿の匂いを避けるのではなく好むようになり、ネコと対峙したときに恐怖を感じて逃走しなくなる。
これは、ネズミをネコに捕食させることで、自分がネコの体内に移動するための策略である。

トキソプラズマは人間にも感染する。トキソプラズマに感染した男性は、規則を破る傾向が強く、人と打ち解けず、疑い深かった。女性は規則に従い、友好的で社交的な人格を持つ傾向があった。また、感染者は交通事故を起こす確率が2.7倍。また、大脳皮質の一部の灰白質が失われ、統合失調症も発症しやすくなる。男性は女性に「男性的だ」と評価されやすくなる。
感染率が高い地域は自殺率も高く、男性は衝動的でスリルを求める行動を、女性は他人と自分に対する攻撃性が増す。

・HIV患者は末期段階になると恐ろしいほどの性欲にとりつかれる。


・予防接種を受けてから3日間の、ウイルスが最も移りやすい時期に、予防接種を受ける前の2倍の人と交流をする傾向がある。


・トキソカラに感染している児童の数学的な能力、読解力、耳で聞いた数字の記憶、視覚空間推論、IQなど全ての評価基準で大幅に成績が悪かった。


・MRIで脳の形を見れば、どのような腸内細菌叢が形成されているかを予測することができる。


・鬱の人には特定の腸内細菌が異常に多い。


・ASDの傾向を示すマウスに健康な細菌を導入すると行動が正常に戻る。


・腸内を無菌にしたマウスは自閉症に似た行動と反応を示すが、健康なマウス細菌を移植すると行動が正常に戻る。


・寄生生物が死や障害の主な原因となっている国々に住んでいる人たちは、感染が少ない地域よりも結婚相手の見た目をはるかに大切にする。見た目の美しさは免疫や健康度合いの強さを示す。


・持っている免疫によって体臭が変わる。女性は体臭を男性の唯一最大の魅惑的な、または不快な身体的特徴と捉えている。他のどんな魅力的な側面があっても、体臭が不快な男性とは性交渉をもちたくなくなる。


・感染症発生率が高い地域ほど保守的、集団主義的な傾向が強まる。


・糞尿や血液など、感染症にかかる可能性の高いものを見た後は、保守的な判断をする傾向が強まる。などなど

本を読みたくなったら

蔵書を軽く紹介しています。

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