三島由紀夫「音楽」

情緒的文章に長け、音楽への造詣があるわけではない三島由紀夫が「音楽」というタイトルをつけたわけだから、何かの素晴らしさを謳歌したような叙情的な小説かと予想して購入しましたが…


そんな予想を見事に裏切る、異色の内容でした。


不感症に悩む女性を、とある精神科医が精神分析という手法を用いて彼女の深層心理にメスを入れていく、という話でした。

正直常軌を逸した作品ではありますが、そういう意味では面白くはあります。


三島氏には現代で言うところの女性蔑視のきらいがあります。

当時の時代背景や本人の成長環境などの影響があるとはいえ、女性にとってあまり楽しい文章を書く人ではないことは確かです。

人を選ぶとは思いますが、筆致や文章の耽美さはさすがといったところ。

興味があれば「試しに」と言う気持ちで読んでみるのも悪くはないでしょう。

本を読みたくなったら

蔵書を軽く紹介しています。

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