ひとの気持ちが聴こえたら
TMS(経頭蓋磁気刺激)とよばれるもので脳に磁束を発生させ、脳の神経回路を抑制したり活発にさせたりすることで、神経回路に変化を与える実験の被験者の物語。
筆者は生まれつきアスペルガー症候群をもち、人の気持ちを汲み取ることが苦手であったが、この実験を受けた日のうちに音楽が情感を伴って聴こえたり、他人の表情、景色が違って見える体験をする。
TMSの効果は一過性のもので、永続するわけではないが、「感情を味わった」という記憶が残り、その後の人生を大きく変えることとなる。
人には、さまざまな才能があり、長所と短所というものはトレードオフになっているものも多い。筆者も実際に、アスペルガーを持っているおかげで機械知識に博学とし、生計を立てることができていた。
脳科学、実体験、また著者の人生を通して「大切なこととはなにか。」「個性とはなにか。」「ヒトとはなにか。」
といった問いを読者にもたらしてくれる。
深い洞察に富んだ一冊を
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