何者
アイデンティティの獲得と就職活動に励む大学生を通して、モラトリアム時代を生きる人間、ひいては現代社会全体にはびこる「何者かに見られたい」という泥くさい人間くさい心を、淡々と描ききる作品。
主人公は演劇に学生生活を費やしてきた大学四年生。彼の視点で多く描かれる計5人の就活群像劇は、最後にはひとりひとりの物語へと分岐する。その過程で、彼らは嫌というほど自分を見つめることになるが、自分ほどよく見えないものはない。そして、それでも突き進むしかない就職活動という時間制限のある戦い。焦り、劣等感、アイデンティティの危機、プライド…
すべての物がぐらついてくる中、物語はどんな結末に向かって進むのか。
この文章の槍は、読者にも刺さる。
刺さればしっかりとえぐられる作品
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