なめらかな社会とその敵

この世界はなめらかではない。この世界では、いたるところに【核による制御】と【膜による囲い込み】が存在し、内側と外側を分ける構造が自然発生的に発現している。それは資源の囲い込みというメリットによって引き起こされる、あたかも遺伝子保存のための自然淘汰的に発生した力学によるものである。

細胞膜と免疫システムが細胞内化学物質のメンバーシップを決定し、DNAと核による制御で統制する。

体性感覚が身体の所有感覚を起こし、縄張りが空間の所有感覚を起こす。そして神経系が身体を制御する。

ミラーニューロンが他社の所有感覚を引き起こし、心の理論や自由意志と自己意識がホムンクルスや他者の制御として立ち現れる。

国境が社会的な膜をなし、社会契約が人間のメンバーシップを決定し、君主が社会を制御する。

このような構造において、核、膜内、膜外はなめらかに接続されていない。これらの構造をなめらかに繋いでいくために、どのような具体的な方策を論じることができるか。筆者は本書において、貨幣・投票システム・知性(計算システム)・法・軍事(暴力の統御)の領域において伝播的なシステムをそれぞれ提案していく。全てのシステムは自然構成的ではなく、人類が発明した「高度な計算機械(莫大な行列計算)」のテクノロジーに支えられることを前提にしている。


人類が発展させてきた社会や技を利用して、この先の人類の未来の社会を高度に設計しようという試みである。

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