寝ながら学べる構造主義
内田樹氏の軽快な一冊。
広く市民に浸透した思考様式を支える哲学の変遷を概要してくれている。
まずはサルトル、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ソシュールを扱い、その後構造主義四銃士としてフーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカンを概説する。
純粋に哲学史を追いつつも、言語とヒトの認識論との関わりや、コミュニケーションと実存との関わりなどについて触れて回る。
正直なところ、内田氏もバッチリと目的地を決めて書いているわけではなく、なんとなく書いていたら最後にこんなふうにまとめようかなと思いついて着地した、というような書き味感が否めない(笑)。
しかしそれでこそ味わえる情報の雑誌感や筆者の感覚に接地する文体が楽しめるため、ある種の楽しさがある。
しっかりと理解するには概説が過ぎるが、ざっくりと哲学史の骨組み感を理解するには非常に敷居の低い一冊である。
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